賃貸経営で知っておきたいこと:第2弾『入居者の騒音が原因で他の入居者も退去されてしまう可能性も!!』

我々のような賃貸住宅管理業者には、ホボ毎日と言ってもよいほど入居者の方等から、クレーム(苦情)や設備等の修繕依頼が舞い込んできます。そのクレームの内で少々厄介な事柄として「騒音の問題」があります。

賃貸経営のオーナー様からも、この騒音の問題でのご相談は、頻繁ではありませんが年に2~3件ほどは受けております。賃貸経営のオーナー様曰く、「契約の解除は出来ないものか!?」と、言われることが多いですね。

この「騒音」ですが、あまりもひどく「受忍限度」を超えており、更にその騒音を発生している当事者の行動・態度が非常識極まりなく、集合住宅の他の入居者の方にも迷惑が掛かっていると判断できる場合には、賃貸借契約を解除することが出来る可能性はあるのでは、と思われます。

【では実際にはどのような状態が想像(考えられる)出来るでしょうか?】

■入居者(借主)や、その同居人が賃貸住宅に入居と同時くらいに、隣戸(両隣)の入居者に対し「うるさい!」などの抗議を執拗に重ね、挙句の果てに「壁を叩く」などの迷惑行為をした。

■その結果、迷惑行為を受けた隣人は耐え切れずに転居を余儀なくされた。

■新しく入居してきた賃借人も同様の迷惑行為を受けたので、程なく退去となってしまった。

■流石に貸主も我慢できず賃貸借契約を解除を求めた結果、近隣への迷惑行為・共同生活をする上での秩序が保てない、更に、空室状態による損害が多額である等に因り、貸主・借主間の信頼関係を破壊する行為にあたるとして、本契約の解除が有効であるとの判例(東京地裁にて)があります。

【但し、「騒音」の感じ方は其々の人によって異なることを留意するべき】

先ずは、音の感じ方は人其々に「異なる」との考え方に立つべきと思われます。其の上で前述しました行為と思われる場合には、賃貸契約も解除される可能性が有ると注意喚起することが、先決だと思われます。『受忍限度も人に因りマチマチですね』

ここで是非ともご注意いただきたいことがございます。それは、騒音の原因が当然のことながら「建物自体の問題或いは、設備等の故障に因ることでは無い」ことが肝心です。特に、設備に関し、その設備はまだ動いているのだが、古くなっているのが原因で騒音が発生している等を良く見かけます。必要な工事や設備の更新(交換)に因って騒音解消を図り、問題の解決を図ることも必要であり大事なことと感じています。

【問題の解決が見えなくなり、契約を解除する方向に考えた場合の準備としては、、】

■騒音の程度が「受忍限度」を超えていることの証明のため、音のレベルを測定しておく。

■隣戸(両隣で)の入居者へ音の感じ方の聞き取りをしておく。

■近隣及び隣戸(両隣の)からの苦情・クレーム状況を記録しておく。

■貸主から借主への対応の記録と、その際の借主の反応等を記録しておく。

■万一、その事が原因で退去した入居者いれば、その方から退去理由や経緯を聞き取りしておく。

等々考えられると思われます。「騒音」が立証できる事柄を多く調査収集が肝心と思われます。

【準備することは大変大事なことではありますが、、】

先ずは、借主に改めて「騒音」により近隣の方が迷惑しているので、其の行為を止めて頂くよう催告をするべきと思われます。それでも改善して頂ける見込みが無いようであれば、賃貸借契約を解除する旨の意思表示をすることになると思われます。

【この騒音問題は受忍限度が絡み、非常に悩ましい問題でもあります。更に、人其々感じ方の相違もありますので、契約の解除を意思表示するにつきましては、専門家(弁護士)に相談されることをお奨めいたします】

=====余談にはなりますが、貸主は借主(入居者)に対し部屋を使用するに当たり、支障を生じさせない状態を維持するべき、との考え方があります。従いまして、この度の騒音問題ですが、被害を受けている入居者からの苦情・クレームを放置しておいた場合には、その入居者から、貸主責任を問われる可能性も否定できないことも注意が必要と思われます=====

👇👇👇国土交通省の告示に因ります『賃貸住宅管理業者登録制度』が施行され、その内容につきまして本ブログに幾度か記載させていただいております。エイセンハウスでも『賃貸住宅管理業者』に登録を既にすませておりますが、同時に、エイセンハウスの所属団体関係の「略称:全宅管理」にも入会をしております。今後、賃貸オーナー様にとりまして、管理に関します有意義な情報をお届け出来ると思います。

【この記事を書いた人】
エイセンハウス有限会社 代表 岡野茂夫
1952年生まれ。東京都立向ヶ丘高校卒業と同時に家業の和菓子店「岡埜栄泉(おかの_えいせん)」に入店。和菓子職人の修行の道に入る。1986年頃から春日通り収用計画(道幅拡幅工事)に因り和菓子店も建直しを余儀なくされる。新築する建物に“賃貸住宅併設計画“をした為”宅地建物取引士“の資格取得を目指す。1987年、資格を取得と同時にエイセンハウス有限会社(商号は「岡埜栄泉」のエイセンから)設立。平成7年和菓子店「岡埜栄泉」は閉店し不動産業に専念し今日に至る。

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