「賃貸管理業者へ良く頂くご相談、ご質問」のご紹介。何回かに分けましてご紹介させて頂きます。【其の三】

賃貸住宅等の管理をしていますとホボ毎日と言っても過言ではないほど、入居者様や賃貸住宅等のオーナー様から色々なご相談事・ご質問等々が寄せられて来ます。今回も其の中から、賃貸住宅のオーナー様から頂きましたご相談・ご質問を幾つか取りあげましてご紹介をさせて頂きたいと思います。

尚、ご紹介させて頂く内容は本当に種々ございますので、今後も何回かに分けましてご紹介させて頂きます。また、ご紹介の形式は其の一・其の二と同様に「クエスチョン&アンサー形式」にて記載させて頂きます。


では今回【其の三】のテーマは、貸主(オーナー様)又は借主の変更に関するご質問です。所謂、よく言われるかとは思いますが「名義変更」についてです。特に借主様の多くは自己都合(例えば、会社からの住宅補助が多く貰える等)の場合が殆どと思われます。以外にも簡単に出来る・簡単な事柄だと、お考えの方が多いように感じています。


賃貸住宅の契約は1.貸主様と借主様との賃貸契約と、2.貸主様と連帯保証人様との保証契約の2本立ての契約となっている場合が殆どですね。当然のことと思いますが1.の名義人を変更する場合には必ず2.の保証契約の当事者の了解も得ることが必要です。仮に了解が得られない場合には、当然に借主様の変更は出来ないこととなります。

ここからが頂きましたご相談・ご質問の件につきまして記載して参りたいと思います。


【貸主様・借主様の変更に関します事柄について】

Question:近年、投資用マンションの売買が盛んにおこなわれています。俗に申しますところの「オーナチェンジ物件」の売買ですが、オーナーチェンジ物件を購入されました貸主様からでした。ご質問の内容は、賃貸マンション購入後に現借主様(入居者様)に「貸主が変更になった」旨を伝えたところ、借主様から「契約当事者の変更には相手方(借主)の承諾がいるはずだ、従って自分は承諾していないので貸主の変更は無効だ」と言われたが、本当に借主の承諾が無い場合には貸主変更とはならないのですか?との事でした。
Answer:なるほど、そう言われてみますと、、契約当事者を変更するには契約の相手方の承諾や同意が原則要しますが、不動産の賃貸借におけます「貸主の地位の変更」については、借主様の承諾を要しないとなっています。このことは既に最高裁でも判決を得ています。




Question:相続人様からのご質問で、貸主様が亡くなられたのだが遺産分割には時間が必要なため、相続登記を待たずに借主様に賃料請求をしたそうです。ところが借主様から「所有者が解らない、また登記が未了の状態では賃料支払いはしたくないし、そもそも請求は出来ないのでは」と言われてしまったが、この借主様の言い分は果たして正しいのですか。
Answer:これもまた、言われてみますと、との感覚になりそうなのですが、相続人は相続が発生した段階で「亡くなられた方(被相続人)の財産の一切を承継する(権利義務を)」とあります。従いまして貸主たる地位も相続人に承継します。このことから貸主様の相続人は、相続登記や賃貸契約書の貸主名義変更なしで借主様に賃料請求をすることが出来ます。



Question:某貸主様からのご質問でした。借主様から「借主名義を変更したい」との申し出があり、考えた末に申し入れに応じたそうです。賃借権の「譲渡」に応じた訳です。と、ここまでは良かったのですが、しばらくして以前の借主(旧賃借人)から預けていた「敷金」の返還を求められたそうです。果たしてこの申し入れに応じなければならないのか?!とのことでした。
Answer:借主様の変更は貸主様が交替したとは違い、敷金の返還を請求する権利は「新借主」ではなく「旧借主」にあります。要は「敷金返還請求は新借主には承継されない」ということです。また、借主様が変更した際に、旧借主が新借主に「敷金返還請求権」も譲渡していない限り、貸主様は旧借主様に敷金を返還しなければなりません。このような事態を防ぐには、新借主様からまず先に「敷金」を預かった後、旧借主様から預かり済みの敷金を返還すれば、良かったと思います。敷金の返還、意外な落とし穴だと感じています。



Question:近年、独居の高齢者も増えてきています。また、更にコロナウイルス感染症の影響もあり自宅に引きこもりがちとなています。そこでのご質問でしたが、独居の居住者(借主様)が亡くなってしまったので、借主様の相続人に連絡したところ「もう!縁を切っているんだ!」と言われ、いくらお頼みしても何等の対応もしてくれない、とのこと。でも、賃料が未払いのままなので、この相続人に賃料支払いの請求をしても良いのか、とのことでした。
Answer:借主様が契約しています「賃貸借契約」の「借主の地位」は相続人に相続されることに成ると思います。従い、貸主様(オーナー様)は、其の相続人様に未払い賃料の請求が出来るものと思います。上記のような場合、多分ですが相続人は未払い賃料の支払いを拒むことが予想されますので、その時は「賃貸借契約の解除」を通知し、建物の明け渡しと未払い賃料等の支払いを求めることに成ると思われます。


【こんな例も】賃貸借契約締結時には未だ入籍されていない場合もあります。結婚を前提に同居を始める、などが其の例かと考えられ関係は「内縁の同居の配偶者」ですね。この状態で借主様が亡くなられたとします。貸主様が借主様の相続人に賃貸借契約の継続の意向を尋ねたところ、継続の意思が無いことが判明しました。そこで、貸主様は相続人と話し合い賃貸借契約を合意解約し、同居人の内縁の配偶者に退去を求めたいが可能か??
👇👇👇このような場合では、、
同居人(内縁の同居の配偶者)は「相続人の有する賃借権を援用」することが出来、又は援用することにより、貸主様からの明け渡し請求は「権利の濫用」で拒否できるとされています。(最高裁判決)



【 ま と め 】
日々色々な問題が起きていますが、当然のことながら一つとして「同じ問題」はありません。人それぞれのご事情が違うのは当たり前ですから。よ〜くお話を伺いご相談されますことをお奨めいたします。

【この記事を書いた人】
エイセンハウス有限会社 代表 岡野茂夫
1952年生まれ。東京都立向ヶ丘高校卒業と同時に家業の和菓子店「岡埜栄泉(おかの_えいせん)」に入店。和菓子職人の修行の道に入る。1986年頃から春日通り収用計画(道幅拡幅工事)に因り和菓子店も建直しを余儀なくされる。新築する建物に“賃貸住宅併設計画“をした為”宅地建物取引士“の資格取得を目指す。1987年、資格を取得と同時にエイセンハウス有限会社(商号は「岡埜栄泉」のエイセンから)設立。平成7年和菓子店「岡埜栄泉」は閉店し不動産業に専念し今日に至る。

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