オーナー様向けマガジン「エイセン通信」のご紹介。今月、12月号注目記事:どこまでが「事故物件?」「賃貸の置き配トラブル」ほか。

オーナー様向けマガジン「エイセン通信」12月号記載記事の、内容のお知らせを少々と思います。

今回のエイセン通信は、本ブログでもご紹介をしています心理的瑕疵物件、所謂、事故物件の話題の内、国土交通省でも取り上げていなかった、或いは、何の回答もしていなかった「告知義務部分」について、取り上げて検討し、何らかの手掛かりを見つけられればと考えました。

では、何の回答も無かった告知義務部分(ガイドラインで示されていなかった)とは、それは『集合住宅の場合ではどの範囲の住戸まで告知しなければならないか?』この問題は非常に悩みますね。

12月号のエイセン通信では弁護士の鈴木章浩先生に執筆をお願いしました。先生に因りますとガイドラインでは何等の回答も無いので、手掛かりは今までの裁判判例の中に見つけるしかないとのこと。

以下では心理的瑕疵(事故物件)の告知義務と死亡の「場所」との関係を記載したいと思います。

■事故物件に接する物件とは、
某マンションの302号室で死亡事故が有ったとします。その際隣戸の301号室や303号室、更に階下の202号室や真上の402号室まで、次の入居者に事故の事実を告げなければならないでしょうか!?万一ですが其処までとなればかなりの負担が掛かると思います。

【判例:平成18年12月6日東京地裁判決】直下の一室で自然死が有っても、その上の部屋に心理的瑕疵が生じるとは評価できないと判断しました。

【判例:平成19年8月10日東京地裁判決】自殺が有った部屋の両隣、階下の部屋について、事故後最初の入居者い対する告知義務はは無いとの判断を示しました。

上述の根拠としまして、集合住宅の各部屋は独立した空間であり、当然、入居者の出入りは互いにできません。従い、死亡事故に因るところの心理的瑕疵の波及は法的にも遮断されるべき、と言うことと思われます。

■共用部分で発生した場合は、
事故が共用部分で発生したら、、どうでしょうか。例えば共用の屋上から飛び降りた場合などです。このような場合、次の建物入居者全員に対して当該事実の告知は必要でしょうか。これについての事例は売買時の物とのことです。東京高裁平成29年1月25日判決が参考となるようです。内容は以下👇

『ビルテナントの支店長が非常階段から落下したした事故について、所有者は支店長に因る自殺で、それが原因でビルを安く売る羽目になったと主張、テナントに損害賠償を求め提訴。結果的に高裁は自殺と断定できないとの理由で請求を棄却した。』

ここでの注目は、死亡事故の発生場所が「共用部」であることは「問題視されなかった」点でした。

しかしながら所有者(オーナー様)は、共有部での事故であっても「賃貸物件の価値は下がる」、との前提での提訴であったと考えます。共用部はその文字の通り独立した部屋ではありませんが、集合住宅内の全ての部屋とのつながりがあり、また、入居者が誰でも利用する場所ですね。このような点を踏まえますと、オーナー様は告知しておくことが「無難」のようですが、告知した場合の損害頻度、多分ですが多くなる予想が付きますので、大変難しい判断となるものと思われます。

■原因と結果の場所が異なる場合
事故の原因は建物内だが死亡場所が建物外?の場合はどうでしょう?売買事例ですが、

・東京地裁判例:平成20年4月28日👇
『マンションの住人が自室から飛び降りて、公道で死亡した事実について告知義務を認定しました』

・東京地裁判例:平成21年6月26日👇
『マンションの自室で睡眠薬大量服用で搬送先の病院での死亡について告知義務を認めた』

上述のような売買事例を賃貸に当てはめるのは、少し無理の様には感じますが、結果が建物外での発生としても原因が建物内に原因がある場合には、心理的瑕疵があるとの裁判所の判断(評価)は参考になるものと考えます。

【心理的瑕疵とは、その事実に対する人の心理を法的に評価したものとのことです。オーナー様としましては、所有されています物件やその周囲・周辺での事故発生時の対応、ご相談されたり、関係者の方々と協議されておくのが大変有意義であると感じております。】



■以前ご紹介しました心理的貸物件(所謂、事故物件)は、こちらからご覧頂ければと思います。

内容は、①どんな死亡事故であれば告知するのか?②事故の何年後まで告知するのか?、ダケに留まっており、「集合住宅ではどの範囲の住戸まで告知するのか?」までの言及は有りませんでした。


👇👇👇以下は12月号のエイセン通信です。ご興味ございましたらご連絡願います。メール又はご郵送も承ります。メールは・・honten@eisen.ne,jp です。お待ちしております。














【この記事を書いた人】
エイセンハウス有限会社 代表 岡野茂夫
1952年生まれ。東京都立向ヶ丘高校卒業と同時に家業の和菓子店「岡埜栄泉(おかの_えいせん)」に入店。和菓子職人の修行の道に入る。1986年頃から春日通り収用計画(道幅拡幅工事)に因り和菓子店も建直しを余儀なくされる。新築する建物に“賃貸住宅併設計画“をした為”宅地建物取引士“の資格取得を目指す。1987年、資格を取得と同時にエイセンハウス有限会社(商号は「岡埜栄泉」のエイセンから)設立。平成7年和菓子店「岡埜栄泉」は閉店し不動産業に専念し今日に至る。

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